第7期の活動計画

プロセスシステム工学は、化学プロセスをより合理的に設計・運転することを目的に発展してきた学問体系である。様々な工学分野の知識を利用して対象をモデル化し、数理工学や制御工学の知識を利用して定式化された問題を解く手法を提供するという考え方は広く一般的に利用できることから、現在その対象は分子領域から地球環境・エネルギー問題まで拡大してきている。また化学プロセスにおいても、個々の機器の定常最適化からプロセス全体の動的最適化まで、その対象を拡大してきている。一方、計算機に関するハード、ソフトの進歩はめざましく、多くの分野において標準的なモデルおよび標準的な解法が提供されるようになってきた。言い換えれば、詳細な計算手法を知らない科学者でも対象の知識さえあれば、パソコンを用いて容易に対象のモデル化や最適化ができるようになってきている。このような状況において、プロセスシステム工学者は、より対象に深く入り込んだ研究の推進や現実規模の問題に適用可能な手法の開発が要求されてきている。しかしながら、対象が複雑になるにつれ、対象の十分な理解に基づくモデル化と、そのモデルに基づく設計や操作に関する手法開発を1人の研究者が行うには限界があり、異なる分野の研究者の共同作業が不可欠となってきている。これまで本委員会は、プロセスシステム工学に関する大学研究者と企業研究者の共同研究を支援し、この分野の実学の進展に寄与してきた。第7期においては、これまでの活動に加え、異なる分野の研究者との共同研究を行える場の提供を1つの柱として、活動を進める。  以上の状況を踏まえ、第7期では以下の項目を中心に活動を進める。

  1. 大規模問題のモデル化と解法に関する研究
  2. プロセス・プロダクト合成手法に関する研究
  3. エネルギー問題・環境問題に対するモデリング、最適化に関する研究
  4. 異分野研究者との共同研究の推進

サイエンスの分野で提案された研究内容を現実の製品生産に結びつけるためには、様々なレベルでのモデルを統一的に扱える手法が必要である。マルチスケールモデリング等のモデリング手法、動的最適化手法、分散型最適化法等に関する研究を進め、大規模問題に対してのモデリングの考え方とそのモデルに基づく最適化手法に関する研究を進める。プロセスシステム工学は合成の学問と言われているが、現実の合成問題は依然「アートの世界」と言われている。真に革新的なプロセス合成を行うためには、現在の単位操作に基づくモデルをベースにしたのでは不可能であり、機能に基づくモデリング等、新たなモデリング手法を開発する必要がある。このようなモデリング手法に基づいたプロセス・プロダクト合成手法に関する研究を進め、合成問題研究に関する体系化を目指す。プロセスシステム工学は常にシステムバウンダリーを広く取って物事を考えることを基本にしてきた。エネルギー問題や環境問題では、単に物理的な地域を拡大するのみならず、考慮すべき項目の拡大、考慮する期間の拡大、動的な問題や不確定性を含む問題への拡大等、プロセスシステム工学の研究者がこれまで開発してきた多くの手法が適用可能である。次期5年間において、エネルギー問題・環境問題は避けて通れない問題であり、この分野への提言ができる体制を整えるとともに、本委員会委員の国家プロジェクトへの参画等についても積極的に支援する。プロセスシステム工学の対象が拡大するにつれ、分子レベルでのモデル、精密な流れの挙動を考慮したモデル、生体機能のモデル、社会システムのモデル等、様々なレベルのモデルが必要となる。これらのモデリングには、合成化学者、流体工学者、生物工学者、経営・経済学者等様々な分野の研究者の知識が不可欠である。これらの分野の研究者を研究会に積極的に招聘するとともに、共同研究の可能性を検討し、プロセスシステム工学のより高範囲への拡大に努める。


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